もしかすると小児難聴かも

小児難聴でよくある症状

小児難聴でよくある症状
  • 言葉が遅い
  • 視線が合わない
  • 話しかけても応答しない

など

Q&A

小児難聴って、どんな病気ですか?

音の聞こえが悪かったり、音の区別ができないことを、難聴と言います。そして特にお子様に起こる難聴を小児難聴と呼びます。小児難聴は、大きく「伝音難聴」と「感音難聴」に分類されます。(両方の症状を持つ場合には「混合性難聴」となります)

大人の難聴とは違うのでしょうか?

成人の方の場合、それまで生活してきた環境(大音量での音の中での仕事・生活、ストレスなど)によって難聴の要因が増えることにはなりますが、伝音難聴、感音難聴という分類がなされること、その発症の仕組みといった点では大きな違いはありません。
ただ小児難聴の治療においては、早期発見・早期治療・早期環境整備の必要性がより増すことになると言えるでしょう。言語発達、社会性の獲得といった成長過程の真っただ中にあるため、発見・治療・環境整備の遅れの影響は、大人と比べて大きくなります。

伝音難聴、感音難聴の違いを教えてください。

伝音難聴は、外耳・中耳に障害が生じて起こる難聴です。つまり、内耳の機能は正常に保たれている状態です。
損傷や閉塞によって音の伝達機能が外耳・中耳で乱され、内耳以降の器官に正しく伝わらずに難聴となります。
一方で感音難聴は、内耳での障害によって起こる難聴です。外耳と中耳を介して伝わってきた音が、蝸牛や脳へと音を伝える聴覚伝導路での何らかの異常によって乱され、音は内耳まで届いているのに正しく感知できずに難聴となります。

生まれつきの難聴の場合、どうやって見つけることができますか?

難聴を先天的に(生まれつきで)抱えているケースは、1000人に1~2人程度の割合で見られます。
一般的に、生後1か月以内に聴覚のスクリーニング検査(病気の可能性がある無症状の方に行われる検査)を受けることが推奨されています。言語能力が急速に発達する前に難聴を発見・治療しておくことで、その後のお子様への影響を最小限に留めるためです。しかし実際には、2~3歳になってから「言葉が遅い」と保護者様が気づいて受診されるケースがまだまだ見られます。
生後すぐは、外から難聴の有無を見つけることは困難です。慌てないためにも、生後1か月以内のスクリーニング検査をお勧めします。

小児難聴の症状には、どんなものがありますか?

言葉が遅い、視線が合わない、話しかけても応答しないといった主症状が見られます。また、年齢別に、以下のようなお子様の様子にもご注意ください。

0~3歳のお子様
  • 大きな音に驚かない、反応しない
  • 生後半年を過ぎても、音や声のする方を向かない
  • 生後9か月を過ぎても、お喋りをしない
  • 何かを訴えるときに声を発する(発しようとする)のではなく、身振りを示す
3歳以降のお子様
  • 単語を喋らない
  • 極端に大きい、極端に小さい声を出す
  • 何度もきき返す
  • テレビの音が大きい

症状が現れたら、どのように対処すれば良いですか?

急速に成長し、各機能を発達させる年齢において、聞こえない期間が長くなることは、言葉の遅れに直結します。症状や疑わしい様子が見られれば、早期に耳鼻科を受診してください。
補聴器を使用することになっても、言語聴覚士や聾学校の乳幼児相談室などから専門的な指導を受けることで、平均的な言語発達を得られる可能性が高くなります。
補聴器でも十分な聞こえが確保できない場合には、人工内耳を埋め込む手術を行うこともあります。

小児難聴の原因には、どんなものがありますか?

新生児の難聴でもっともよく見られるのは、遺伝子異常による難聴です。
後天的な小児難聴の原因としては、滲出性中耳炎、耳あかの蓄積の他、頭部への損傷、大音量の音楽をきき続ける、異物による耳の中の外傷などが挙げられます。

小児難聴は、どのような治療が行われますか?

小児難聴の原因によっては、治療によって聴力の回復が期待できます。感染が原因であれば抗菌薬や手術で、耳あかが原因であれば清掃や点耳薬で治療します。真珠腫性中耳炎が原因であれば、手術による切除を検討します。
ただ、小児難聴の治療は困難なケースがまだまだ見られます。補聴器を使用したり、場合によっては人工内耳の埋め込み手術を行うことになります。

治療中、自分で気をつけることはありますか?

根本的な治療が難しく、補聴器を使用する場合には、言語聴覚士や聾学校の乳幼児相談室から専門的な指導を受けることで、平均的な言語発達を得られる可能性が高くなります。
治療そのものはもちろんですが、お子様の言語発達や十分な社会性の獲得のためにも、環境面のケアも重要です。

言語聴覚士とは

言葉によるコミュニケーションに問題がある方に対して、トレーニング・指導・援助を行う言葉の専門家です。
言語聴覚士は、1997年に国家資格の認定を受けています。患者様ご本人のサポートだけでなく、就学準備やご家庭での環境の整備を含めて、保護者様のサポートも行われます。

子供が小児難聴で、補聴器を使うことになりそうです。今後、どのように生活を送らせれば良いのでしょうか?

まず、原因と症状の確認を行わなければなりません。伝音難聴なのか感音難聴なのか、高音と低音の聞こえの違いなどを正確に調べます。
その上で補聴器を使用することが決定したならば、言葉の教育・サポートから始める必要があります。お子様は、「聞くという行為」そのものへの理解が不十分であるためです。
言語聴覚士、さまざまな医療機関、各種学校とも連携を進めていかねばなりません。しかし、早期に正確な検査を受け、お子様に合ったトレーニングを開始できれば、難聴ではない子供と同じようにコミュニケーションをとることも可能です。
難聴は、何かと誤解を受けやすい障害です。当事者やそのご家族でなければ、知らないこともたくさんあります。治療やトレーニングには、ご家族の支えが欠かせません。当クリニックでは、お子様、そしてご家族とじっくりと対話しながら、できる限りのサポートをいたします。お気軽にご相談ください。